2014年2月13日木曜日

卒業研究発表会

昨日に引き続き、今日は卒業研究発表会が開催されました。
植物生態学研究室からは9名、我らが植生ナインが発表しました。


まずはトップバッターの梶清くん
三嶺山域のカンカケ谷渓畔林に設置された防鹿柵内の植生回復について


ニホンジカの食害が顕在化して以降、カンカケ谷の植生はかなり衰退してしまいました。
防鹿柵が設置されているのですが、渓畔林特有の植物の回復にはまだまだ時間がかかりそうです。


次は、高野さん
同じく、三嶺山域のさおりが原に設置された防鹿柵からの植物の回復状況について


ニホンジカの食害対策としては、頭数調整と防鹿柵があります。
防鹿柵からどのくらいの早さで植生が回復する可能性があるかを調べたのですが、衰退速度に比べると回復速度はかなり遅いようです。


三番手は、福島くん
ニホンジカによる植生の衰退と斜面崩壊の関係について。


三嶺山域では、シカの食害に起因すると思われる斜面崩壊が起きているようです。
早く対策を講じなければ、さらに被害が拡大するかもしれません。


四番は、福永さん
蛇紋岩採石場跡地の植生回復について


高知県には秩父帯に蛇紋岩が点在していて、採石が行われています。
その採石場の跡地で蛇紋岩特有の植生がどのように回復するかについての発表でした。
地域の植物の多様性を高めるためにも、蛇紋岩固有の植生の回復は必要ですが、特に処理をしなくても順調に回復するようです。


五番手は、 古野さん
菜の花畑の広がる四万十川の自然再生について


自然再生には地域住民の参加が不可欠ですが、四万十川では自然再生事業を行ったことで、地域住民が河川に興味を持つようになったようです。
いろいろと課題はありますが、これからも地域住民との共同で河川の自然再生を進めて欲しいです。


6番は、土居くん
天然林に隣接する人工林の埋土種子について


埋土種子は、植生の回復を考える上で非常に重要な因子です。
まだまだ未解明な部分が多いので、これからの研究が楽しみです。


7番手は、増田さん
えびの高原における植生変遷について


えびの高原周辺の植生変遷は、これまで霧島山系の火山活動の影響で劇的に変化してきたようです。歴史的な植生の変遷のなかでノカイドウがどのように個体群を維持してきたのか....
謎がいっぱいです


8番手は、木村くん
衣服に付着した花粉の残存状況について


衣服についた花粉が、処理によってどれくらい残るかを比較していました。
処理によっては、残存花粉が有力な証拠として利用できそうとのこと。
悪いことはできません。


ラストバッターは、逢坂さん
大学構内の表層花粉の組成について


局所的な表層花粉と周辺の植生との対応関係について検討していました。
発表も面白かったのですが、質疑応答では実際に衣服に付着した花粉が犯罪の証拠として利用されたケースがあったことを紹介していました。
ますます悪いことはできません。



本当に充実した内容の発表でした。
植生ナインのみなさま、本当におつかれさまでした。


比嘉